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2008年01月16日
専門医に関する報道に対する見解

2008年1月16日

12月31日朝日新聞朝刊第1面「専門医師認定54人不正」に対する日本臨床腫瘍学会としての見解と今後の対応を述べます。

当学会の専門医制度では病歴要約の審査、筆記ならびに面接試験の3つ過程をすべて合格したものが専門医の資格を得ることになっています。

  • 教育セミナー参加や論文掲載状況などの受験申請に必要な経歴にかかわる書類の不備は、事務局で審査をし、疑問があれば受験者に連絡をとり確認し、最終的に不備と判断された申請者の受験は認めていません。
  • 2005年から開始された3度の認定試験において、病歴要約の審査結果に基づいて不合格になった受験者もあります。その大多数は十分な病歴記載や考察がなされていない、あるいは一つの臓器に偏った報告のため査読者2人より不合格と判断されたものです。

一方、複数の受験者が同一症例の病歴要約を共有していたと思われる事例もありました。ご存知のようにがんの診療はチームを組んで実施され、1人の患者を複数の医師とがん専門看護師・薬剤師がチーム医療を行います。したがいまして同じ診療科から複数の医師が受験する場合は同じ症例を病歴要約としてまとめて申請することがありえます。当学会としては同じ施設から複数受験者がある場合は、病歴要約を同じ査読者2人に審査を依頼し、疑問がある場合はさらに専門医制度委員会委員が再査読をしています。多くの病歴要約は異なる患者ですが、中には同じ患者について症例報告していると考えられる場合があります。その際も病歴、身体診察、検査結果の記載内容の他に、受験者自らが十分な考察をしているかどうかを検討します。受験者はそれぞれ診療経験、医療技術、知識が異なりますので、考察の項はそういったことを背景に当該受験者の考え方が記載されるところです。病歴要約の内容を考察も含めて総合的に評価し「がん薬物療法専門医」のレベルに達していないと判断された数名の受験者は、不合格と判定されました。

専門医は一般に広告することができ、社会的に責任のある資格を有することを証明するものであることから、その資格審査においては公正かつ厳重でなければなりません。当学会としては、あきらかに不正と判断された際の罰則規定については現在整備中であり、近日公開予定であります。

日本臨床腫瘍学会
専門医制度委員会
委員長 田村和夫
理事長 西條長宏