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理事長レター

理事長レター Vol.15

日本臨床腫瘍学会 理事長 石岡千加史

暑中御見舞い申し上げます。

 今年の梅雨は東海以西で2ヵ月の長期にわたり、総降雨量は例年の2倍を越え各地で土砂崩れや洪水が発生しました。
被災された地域の方々には御見舞い申し上げます。
そして、梅雨明けから日本列島は猛暑を迎えたところです。
高温多湿の中でも新型コロナウイルス(COVID-19)感染症流行のためマスクを外せない鬱陶しい日々が続きますが、皆様には如何お過ごしでしょうか。

 わが国を取り巻く環境には厳しいものがありますが、私たちが専門とするがん治療、中でもがん薬物療法はこのような環境下でも着実に進歩を遂げています。とりわけ分子標的治療薬の開発とがんゲノム医療の進歩からは目が離せない状況です。当学会では新しい時代のがん医療を研究開発し、これを実践・普及し、そしてそれを担う次世代医療人を養成するために、この1月から様々な活動に取り組んできました。「がん免疫療法エキスパートセミナー(1月)」、「がんゲノム医療コーディネーター研修会(北海道・1月/全国・2月)」、「第37回教育セミナーBセッション(3月~6月)」、「Pan-Asian ESMO Adapted Guideline (Early Colon Cancer)Meeting(3月))」、市民公開講座「正しく知ろう!がん免疫療法とがんゲノム医療(4月~6月)」、「Best of ASCO 2021 in Japan(7月)」、がんゲノム医療啓発のためのJSMO/吉野小班共催セミナー「エキパネ道場(7月)」および「第38回教育セミナーAセッション(7月~2月)」をWEB開催したほか、「腫瘍崩壊症候群 (TLS)診療ガイダンス 改訂第2版(3月)」や「新臨床腫瘍学改訂第6版(5月)」を発刊いたしました。

さらに、3 学会合同ゲノム医療推進タスクフォースから国へ「血中循環腫瘍DNAを用いたがんゲノムプロファイリング検査の適正使用に関する政策提言(1月)」や要望書の提出、専門医制度への対応、国際活動など様々な活動を行ってきました。皆様には、新しいがん医療の研究開発はもとより、めまぐるしく変化する標準治療への対応、第3期がん対策推進基本計画に掲げられるがんゲノム医療や小児・AYA世代や高齢者のがん医療の充実、ライフステージに応じたがん対策など、多忙な日々を送られているかと存じますが、当学会の活動が少しでもお役立てれば幸いに存じます。

 このような中、「第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(西尾和人会長)」が2月18日から4日間開催され、初めてのオンライン開催にもかかわらず6,339人の参加者があり成功裏に閉会しました。御参加下さいました皆様にはあらためて御礼申し上げます。次回、第19回日本臨床腫瘍学会学術集会(大江裕一郎会長)」は国立京都国際会館と全国を結ぶハイブリッド形式で2022年2月17日~19日に開催予定です。現在、演題募集中(募集期間:2021年6月15日(火)正午~9月30日(木)正午)です。皆様の奮っての御応募をお待ち申し上げます。

 猛暑と共に到来したCOVID-19の第5波の最中、7月23日東京オリンピック・パラリンピック2020が開幕しました。更なる感染拡大による医療逼迫には余談を許さない状況が続きます。私たち医療従事者や医学研究者には、医療機関でのCOVID-19感染者治療はもとより、地域でのワクチン接種や待機施設での対応など、本来の業務以外の仕事でお忙しい日々を送られている方も少なくないと思います。大変御苦労様です。しかし、このような非常事態の医療や公衆衛生に対応することも私たちの本来の業務であるはずです。当学会では、新型コロナウイルス感染症とがん診療については、がん患者さん向けQ&A 改訂第3版(3学会合同作成Ver.)(1月)、医療従事者向けQ&A 改訂第3版(3学会合同作成Ver.)(2月)、Q&A患者さんと医療従事者向け-ワクチン編 第1版(3月)や新型コロナウィルス感染症の蔓延下におけるがん薬物療法の影響調査の結果 PDF(5月)を学会ホームページに公開しています。是非、御活用下さい。この歴史的な感染症のパンデミックの中においても皆様と共に力を合わせてがん医療の発展と普及・啓発、そしてCOVID-19対策に立ち向かいたいと考える今日この頃です。

皆様、時節柄どうぞ御自愛下さい。そして、当学会へのさらなる御支援と御協力を宜しくお願い申し上げます。

2021年(令和3年)7月吉日

公益社団法人 日本臨床腫瘍学会
理事長 石岡千加史

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