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理事長レター

理事長レター Vol.6

日本臨床腫瘍学会 理事長 大江裕一郎

新緑がしたたる好季節となりましたが、日本臨床腫瘍学会会員の皆さは、如何お過ごしでしょうか?

この時期はJSMOの重要な事業であるBest of ASCO® 2017 in Japanならびにがん薬物療法専門医試験の申込が開始する時期でもあります。

Best of ASCO® 2017 in Japan
 今年も6月2日から6月6日にかけて、シカゴにて米国臨床腫瘍学会(ASCO)が開催されます。参加予定の会員も多いことと思います。ご承知のように例年ASCOには世界中から多数の研究者が出席し、数多くの注目される臨床試験結果が発表されます。その規模、質ともに他の追随を許さない学会で、日本臨床腫瘍学会が目標とする学会でもあります。日本臨床腫瘍学会が目指すのは、米国のASCO、欧州のESMOとならぶアジアのJSMOになることです。ただし、残念なことにこの2つの学会とはまだまだ大きな差があることも事実であり、一歩でも近づけるよう地道な努力が必要です。

ASCOでは領域毎に優れた演題が口演発表されますが、特に優れた演題はプレナリーセッションとして、その時間には他のセッションをまったく開催せずに、全員が参加できる場で発表されます。今年のプレナリーセッションでは、大腸がんに対する術後補助療法実施期間に関する6試験の統合解析や、乳がんに対するPARP阻害薬であるオラパリブの第3相試験など、4演題が発表される予定です。どれも非常に重要な演題です。

ASCOに参加して一番困るのは、どのセッションに参加するか非常に迷うことではないでしょうか?プレナリーセッションは他のセッションとは重ならないようにプログラムが組まれていますが、それ以外のセッションは多くのセッションと並行して開催されるために、聞きたい演題が同時間帯に発表されることも少なくありません。
6月4日から6日の朝7時30分より、Highlight of the Day Sessionが開催されます。このセッションでは前日に発表された重要な演題の結果が、領域ごとにまとめて発表されます。どのような発表があったのか確認するのには非常に役立ちますが、短時間に膨大なデータが発表されるので、深い理解をすることは難しいのが難点です。

膨大なASCOでの発表を網羅するもう一つの方法は、Best of ASCOへの参加ではないでしょうか?今年のBest of ASCOは、米国内でASCOが開催する3回を含めて11回、米国外で28回開催が予定されています。日本臨床腫瘍学会では、世界に先駆けて2005年から毎年Best of ASCO® in Japanを開催してきました。今年は7月8日と9日に、東京ビックサイトにてBest of ASCO® 2017 in Japanが開催されます。Best of ASCO® in Japanには毎回600名前後の参加者があり、非常にホットな議論がされています。
Best of ASCO® in Japanでは、ASCOから推薦された選りすぐりの演題の中から、日本臨床腫瘍学会のBest of ASCO部会で日本人にとって重要な演題を厳選します。これを各領域のエキスパートが単に演題を紹介するだけではなく、その演題の背景から分かり易く日本語で解説します。各発表の後には、それぞれ十分な討論時間を取ってあり聴衆の理解を深めるのに非常に役立っています。

ASCOに参加されなかった方はもちろん、ASCOに参加された方も、ASCOでは聞けなかった演題を聞くことができ全領域のエッセンスが吸収できますので、是非、1人でも多くの方に参加していただければと思います。Best of ASCO® 2017 in Japanの参加受付は、現在、日本臨床腫瘍学会のウェブサイト上で行っています。

2017年度がん薬物療法専門医試験
 2006年から認定を開始したがん薬物療法専門医ですが、2017年4月までに合計で1,233名が認定されています。今年も5月15日より、新規申請が開始されており、申請期間は8月10日までです。試験は11月18日と19日の予定です。
申請資格は、

  1. 1)申請時において(医師国家試験合格後2年の初期研修を終了した後)5年以上がん治療の臨床研修を行っていること、および、がん治療に関する十分な業績があること、
  2. 2)当学会認定研修施設において当学会所定の研修カリキュラムに従い、がん薬物療法を主とした臨床腫瘍学の臨床研修を行い、これを修了していること、
  3. 3)各科の基本となる学会の認定医あるいは専門医の資格を有していること、
  4. 4)申請時において臨床腫瘍学に関連した論文1編(共著可)、および当学会での発表1編以上(共著可)を行っていること、
  5. 5)申請時から遡って過去3年間に、当学会の主催する教育セミナーAセッション・Bセッションをそれぞれ1回以上出席していること、
  6. 6)当会会員は、申請書登録完了までに2017年度までの会費を納めていること、
  7. です。

試験にはまず、受持患者病歴要約30症例分の審査があります。30例の中には、造血器、呼吸器、消化管、乳房から各3例ずつ、計12例を必ず含める必要があります。受持患者病歴要約によりがん薬物療法専門医としてふさわしいレベルの診療が行われているか、治療に関する適切な考察がなされているか、などが評価されます。この書類審査に合格すると、筆記試験と口頭試問に進みます。
初日に行われる筆記試験では、マークシート式の問題で臨床腫瘍学に関する幅広い知識が問われます。2日目は30例の病歴要約をもとに、数名の試験官による口頭試問が行われます。実際に患者さんを担当していたか、がん薬物療法専門医として不可欠な知識が備わっているか、などが評価されます。したがって、30症例の病歴要約が非常に重要となります。
がん薬物療法専門医取得には、造血器、呼吸器、消化管、乳房の症例経験が必須であるなど高いハードルがあります。最終的な合格率も、60%程度に留まっており、数多くある日本の専門医の中でも最も難関な専門医の1つです。それだけに価値があり、誰からも尊敬される専門医です。今年も1人でも多くの先生が専門医試験に合格することを願っています。

2017年5月29日
日本臨床腫瘍学会
理事長
大江裕一郎